ツイッターで140文字からこぼれた妄言を垂れ流します。@rapple001
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2025.04.29 Tuesday
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詭弁入門:第四回 悪魔の二分法(False dilemma)
2018.08.06 Monday
悪魔の二分法とは、実際には他にも選択肢があるのに、二つの選択肢しかないように見せかけるテクニックのことを指す。これは、非論理的誤謬である「誤った二分法」の応用テクニックである。
詭弁論理学の著者である野崎昭弘は、このテクニックを、「詭弁術」ではなく「強弁術」に分類している。この理由については、後述することにする。
天使か、悪魔か
二分法とは、人々や考え方、意見などを原理的な基準で2つに分けてしまう考え方を言う。もちろん、物事の中には、二分することが論理的に正しい場合もある。すなわち、両者の関係が、互いに排他的であり、かつその2つが完全な全体集合を構成する場合だ。
しかし、多くのケースにおいて、この二分法は誤った使い方をされる。どちらでもない、あるいは、どちらでもある選択肢が山程ある中で、あたかも選択肢が2つしかないように論じることを、「誤った二分法」と呼ぶ。このような例は、善悪二分論に始まり、理系文系二分論、敵味方二分論…と枚挙に暇がない。
誤った二分法には、もう一つの特徴がある。「二分」というその特質から、2つに分けた選択肢のうち、片方を味方、片方を敵、もっといえば、どちらかを善でどちらかを悪とする二分法と結びつきやすいのである。この特徴により、「私の意見に逆らうものは、悪魔だ」という二分法が生まれる。本来無数にある選択肢の中から、自分に都合の良い選択肢Aと悪魔の選択肢Bを提示し、相手に選択を迫る、これが「悪魔の二分法」である。
使用法
野崎がこれを「詭弁」ではなく「強弁」としたのには理由がある。このテクニックを使用するためには、誤った二分法を提示する側が「問題設定権限」を持っている必要があるからである。対等な立場の議論であれば、誤った二分法はあまり効果を示さない。自分にとって都合の悪い選択肢を隠していることを簡単に見破られてしまうからである。
しかし、ここにある種の権力関係が伴う場合、話は大きく違ってくる。例えば、先生と生徒、政府と国民。どちらかが一方的に問題設定を行い、選択を相手に迫るような権力を持っている場合に、二分法は非常に大きな脅威となりえる。魔女狩りや、赤狩り、非国民といった二分法は、歴史のあらゆる場面で猛威を奮ってきたのである。
対策
このような思考に陥らないようにすること自体は、さほど難しいことではない。「敵か味方か」「白か黒か」という単純思考を避け、間に存在する無数の選択肢に目を向ければ良いだけである。問題は、このような悪魔の二分法を権力的に押し付けられた場合である。このような場合の対策として、野崎は、マルティン・ルターの例を挙げる。ルターとローマ教会の間の論争において、ローマ教会がとった戦略は、まさに悪魔の二分法だった。すなわち、ルターが自らの誤りを認め、自分の主張を全面的に取り消さなければ、ルターは悪魔の手先だということになる……と。
ルターのとった選択はみなさんもよくご存知だろう。ルターは、ローマ教会の方を蹴飛ばしたのである。二分法を恐れず、悪魔の選択肢を選び取ったのだ。
悪魔の二分法への最大の反撃方法は、「開き直り」である。悪魔というレッテルが、それ以上の効果を持たない場合、開き直られてしまえば手も足もでない。魔女狩りのように、開き直った先は火炙り…という恐ろしい場合もあるにはあるのだが…。
悪魔の二分法への最大の反撃方法は、「開き直り」である。悪魔というレッテルが、それ以上の効果を持たない場合、開き直られてしまえば手も足もでない。魔女狩りのように、開き直った先は火炙り…という恐ろしい場合もあるにはあるのだが…。
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